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船長釣昔話③話「大魚晩成」


2年目。1年目と比較にならない釣果を上げた。写真はほんの一部。もう8kgでは満足出来ない。これは僕の故郷、千葉県房総半島の磯からのヒラマサ釣りのお話で各シーズンにそれぞれの楽しさ難しさがあった。仕事は事務だったので毎日同じ事の繰り返しで退屈していたが、海だけは毎日違う顔を見せてくれるのが楽しくて仕方なかった。

春は3月中旬に黒潮が接岸した時に開幕。4~6月はハイシーズン。7月に水温が上がり切るまで。秋は9月中旬の台風ウネリのシケで開幕。特に台風ウネリでバカみたいにシケた日はチャンスで驚くほどのシャローに入りこんでて潮だまりの中でのヒットもあった。冬は1月中旬に水温が下がり切るまでチャンス有り。極寒の夜明け、時には氷点下の中泳いで離れ磯へ渡った。時には雪が舞う中ルアーを投げた日も。苦行とも言える毎日の釣行でも全く気持ちが折れる事は無かった。

そして12月25日の朝、遂にその日は訪れる。

引きは強烈の一言。「気持ちで負けたら絶対獲れない」と自分を奮起させ竿を曲げ込み、隙があれば1回でも多くリールを巻いた。根ズレの感触がありテンションを抜いて相手の様子を伺った。これは初期のPE1.5号の頃に散々経験した事を活かした駆け引きだ。

落ち着いて根ズレの感触を探っていると根に噛んでいた糸がようやく外れた。その隙に一気に浮かせると見た事の無い大きさの魚影が浮かび上がって来た。何度も何度も寄せ波で磯にズリあげようとしたがデカ過ぎて上がらず、磯の裏の潮だまりに誘導してタイミングを見て竿を放り出し魚に飛び付いた。

「獲った・・・。」サイズは11.4kg。悲願の10kgオーバーのヒラマサ。平凡な人間が何かを成し遂げた瞬間。ただの自己満足かもしれない、それでも何百回磯に通って、どれだけの回数ルアーを投げて、何度悔しい思いをしてはトライ&エラーを繰り返しただろう。

「心の底から震えた。」この瞬間、もう一生自分は釣りの虜だと確信した

(もっとデカい魚を釣りたい。見た事の無い魚を釣りたい。全国を釣りして回りたい。)一気に込み上げてきた気持ちを春が来るまで3か月整理したが衝動止まらず、3月末で退職した。

一生安泰なお堅い仕事を放り出しフリーターへ。めでたく人生を大きく踏み外し(?)冒険が始まった。「日本全国釣行脚」編、突入。